フランス語らしく書く-仏作文の考え方 - 中級以上のライティングに

フランス語らしく書く-仏作文の考え方 - 中級以上のライティングに
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フランス語に限らず、外国語の作文は語学学習の中で一番難しいところですね。

こちらの白水社の「フランス語らしく書く - 仏作文の考え方」は、読めば読むほど理解が深まるスルメ本で、是非紹介したい一冊なのです。

yuko
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私は現在、仏作文の練習はとくにしていません(日々の仕事メールや友達にメールのみ)が、注意するべき点ばかりで、フランス語を書くときに大変に気が引き締まります。

まさに「語学留学する前に、これを読んでおきたかった!」そんな本なのです。

第1部「作文の考え方」自分で例文を仏訳してみてから臨むと◎

第1部では、いくつかの和文を仏訳してみることで、フランス語が日本語は何が違うか・そして何を気をつけるべきかを学びます。

全部で56もの例文がありますが、何となく読んでみるより、まずは「目次」のページに書かれている和文を自分で仏訳してから臨むと、以後の解説がより腑に落ちるものになります。

フランス語らしく書く 目次

「フランス語らしく書く」目次

仏作文の前半は、初級レベルでも十分できる内容です。接続法は後半に少し出てきます。

尚、時代的なものだと思われますが、1902年生まれという著者は仏文にpassé simple(単純過去)を多用しています。その辺は気にせず、passé composé(複合過去)もしくはimparfait(単純過去)どちらか相応しいほうで置き換えても大丈夫だと思います。

ちなみに、私自身はpassé simple(単純過去)、わざわざ活用を憶えようとしたことはありません。フランス人も日常的には使う時制ではなく、小説や歴史的建造物の説明等に出てくるのみです。

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第2部「フランス語の考え方」かなりの読み応え

この第2部は、私的にこの本の一番の目玉でした。

ここでは「フランス語とは、言語学的にいかなる言語なのか?そして日本語はどんな言語か?それゆえに仏作文で気をつけるべき点は何か?」という大きなテーマに基づいて、さまざまな資料を参考にしながら解説してくれています。

私は大学は希望の理系の学部に進みましたが、受験生の時の第二志望は「言語学」だったので、大変興味深く読みました。

類語辞典や仏仏辞典のオススメもたくさん挙げてくれています。私が当サイトでオススメしている「Le Robert Micro」の名前も挙がっていたので、ちょっと嬉しかったです。

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ちなみに、「Le Robert Micro」は、こちらも仏語学習者上級者向けの「Le Petit Robert」を小さくしたものだそう。「Petit Robert」はカシオのフランス語電子辞書にも入っていますね。

接続法の解説などは、もはや超上級者向けとも思えるマニアックさ。私はすべてにはついていけませんでしたが(接続法大過去などは、語学学校の上級クラスでもやりませんでした)。接続法というものがどのような考え方に基づき、どのようなニュアンスを与えるものか、練習問題も含め接続法なるものを理解するのに非常にためになりました。

余談ですが、2021年のベストセラーでもある「英語独習法」も、日本語との差異に基づいた英語学習法について書かれている本で、オススメです。(著者は認知科学の視点から分析されています)

まとめ

本の厚みに比べるとお気軽な価格ではありませんが、最後には「あれ?この本こんなに薄かったっけ?」と思えるくらいの濃い内容です。

yuko
yuko

フランス語の参考書で、ここまで掘り下げたユニークな本は、なかなかないのではないでしょうか。

フランス語は日本語とはまったく懸け離れた言語であり、日本語話者がいかにネイティブに近いフランス語を書くことができるか。英語ともドイツ語ともイタリア語とも、フランス語は考え方が違うそうです。

フランス語の域を超えた著者の広い知識には、本当に平伏します。フランス語学習者ならば初級段階からレベルに合わせて少しずつでも読んでいってもいい、非常に濃い内容です。

読み物として気軽に読んでみてもいいと思います。