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仏語版「サラの鍵」(仏題:Elle s’appelais Sarah)を読了しました。
映画化されている作品でもあるので、ご存じの方も多いかも知れませんね。

小説は知人から頂いたのですが、私は映画も小説も知りませんでした・・・
こちらの作品は、フランス人作家Tatiana de Rosnayが英語ではじめて書いた小説だそうで(Wikipedia参照)、仏語版はオリジナルの英語版の仏訳となっています。
仏訳はフランス人の作者とは別の方です。何だかおもしろいですね。
あらすじ
1942年のパリ。早朝に突如、フランス警察によるユダヤ人の一斉検挙が開始される。危険を感じた10歳のサラは、とっさに部屋のクローゼットに弟を隠して鍵をかけるー「すぐに戻ってくるから隠れていてね」と。その後、家族は収容所へと送られることに。
翻って2009年のパリ。フランス人夫と娘と暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリアは、夫の両親から譲り受けたアパートへ引っ越すところであった。
雑誌の企画でユダヤ人が検挙された「Vel d’Hiv」を取材することになった彼女だったが、偶然にも引っ越し先のアパートがもともとはユダヤ人から没収されたものだと知り、取材に深く入り込んでいく。
感想(ネタバレなし)
仏語タイトルの直訳は「彼女はサラという名だった」。

原著(英語)では「Sarah’s key」、邦題でも「サラの鍵」なので、仏語版タイトルが微妙に違うのは何か意図があったのか、気になるところです。
史実を元にした重いテーマではあるものの、後半ぐいぐい謎解きがされていき、最後はつい一気に読んでしまいました。
クライマックスまでの盛り上がりもしっかりあり、読ませるエンターテインメントとして純粋に楽しめました。
主人公は、フランス人男性と結婚した、アメリカ人ジャーナリスト女性。「外国人」であるが故に一歩離れた視点から、戦時中にフランスで起きたことの真相を解明していきます。
フランスに暮らす外国人ならではの「あるある」があったり、フランス人男性のありそうな雰囲気なども、ちょっと懐かしく感じましたね。
フランスのアパートメントや、パリやフランスの田舎の雰囲気に触れたことのある方なら、場面を想像しながら読めると思います。
登場人物は多くなく、混乱することもありません。多少、グロテスクな描写があります(映画では、厳しい場面が多々再現されています・・・)。
1つ気になった点としては、「イタリア訛りの英語」が出てくる場面。無茶な要求とわかってはいますが、そこは是非とも英語で書いてほしかった・・・。フランス語の字面で「イタリア訛りの英語」を再現されても、ぶっちゃけピンと来ませんでしたw
必要な仏語レベル
そこまで難しい単語はなく、仏検2級程度であれば十分読めるのではないかと思います。私もそこまでの頻度で辞書を引くほどでもありませんでした。
単語が難しくてなかなか先に進めない仏語小説もありますが、この「サラの鍵」に関しては、わからない単語があっても文脈で想像しながら押し切れるくらいではありましたよ。
邦訳も出ていますし、はじめての仏語小説にも読みやすいと思います。
サラの鍵[映画版]について
「サラの鍵」は映画化もされているので、小説の仏語で自信がない場合は、まずは映画を見てストーリーの流れを知ってから、原作を読んでもいいですね。
映画版で主人公のアメリカ人女性役を演じているのは、仏語も堪能なクリスティン・スコット・トーマス。
トレーラーでは英語を話している場面しか出てきませんが、本編ではバッチリ仏語も話しています!
ただ、ホロコーストの話なので、目を覆いたくなるシーンも多いです。
小説のほうが「文字だけ」「自分の母国語ではない」ので、多少マイルドに感じます(感じ方には個人差あり)。
まとめ
仏語レベル的にも高すぎず、読み切れて良かったですw
重いストーリーではありますが、最後はハッピーエンドでまとめられているので、読後感も爽やかです(ただ、結末はちょっと想像できたかなと・・・)。
小説そのものはフィクションですが、フランス人もホロコーストを行っていたのかという、史実を知ったことへの驚きがありました。
読後にAmazon.frでフランス人・フランコフォンの感想を読んでみるのもおもしろいですね。
ちなみに、現在販売されている文庫版は、私が持っているものと装丁が異なるようです。