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みなさんは、どんな仏和辞典を使っていますか?
私は手元の日常的な仏和辞典として、主に「ディコ仏和辞典[新装版]」を愛用。「プチ・ロワイヤル仏和辞典」も補完的な感じで使ったりしています。
今回は、2つの辞書を使って感じた感想を書いてみますね!
この記事は以下のような人におすすめ!
- 仏和辞典をこれから買おう!と思っている方
- プチ・ロワイヤル仏和辞典とディコ仏和辞典が気になっている方
プチ・ロワイヤル仏和辞典は初心者に易しめ。掲載語彙のセンスはディコ仏和。
ざっくり、良い点の比較
プチ・ロワイヤル仏和辞典の良い点
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基礎単語の説明、文法の説明が充実
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語彙数が多い(ページ数が少ないので、デメリットでもある)
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電子辞書・アプリなどの展開がある
ディコ仏和辞典の良い点
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新語・日常語にフォーカス、フランス人が編纂に携わっている
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掲載語彙のセンスが良い
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図解説明が充実
プチ・ロワイヤル仏和辞典を使ってみての感想
私が執筆辞典で持っているプチ・ロワイヤル仏和辞典は、以下の2種類。
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プチ・ロワイヤル仏和辞典 第3版(電子辞書)
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プチ・ロワイヤル仏和辞典 第4版
現在、プチ・ロワイヤル仏和辞典は2020年に出版された[第5版]が最新で、WEB辞書や新綴り字に対応しています。
入門者・初心者向けに丁寧な解説
プチ・ロワイヤル仏和辞典では、とくに「avoir」や「aller」などの基礎単語で、細かい用法の分類に力を入れている印象があります。
例:avoir
A.【所有・所属】・・・を持っている、・・・がある
①《物》・・・を持っている、所有している
②《人間関係》〈肉親・友人〉がいる
③《時間・場所》・・・がある
④《商品》・・・を売っている
⑤《衣服》・・・を身に付けているB.【属性・状態】・・・である
①《身体・精神的特徴》・・・である、・・・をしている、・・・が備わっている
②《心身の状態》・・・である、・・・がある
③《年齢》・・・歳である
④《物の性質・寸法》・・・を備えている、・・・がある
⑤《avoir A B》AがBであるC.【行為・経験】
①《取得》・・・を得る、もらう、手に入れる、連絡がつく
②《行為》・・・をする
③《経験》・・・の目にあう、・・・に恵まれる
④《思考・感情》・・・を心に持つ
⑤《子供》・・・をもうける
⑥《乗り物》に間に合う;〈獲物〉を捕らえる;〈相手〉に勝つ
⑦《話》・・・をだます、一杯くわすプチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版]
・・・とまあ、avoirでこれだけの用法の分類をしています。細かいですね!
一方、ディコ仏和辞典の場合、プチ・ロワイヤル仏和辞典に比べてavoirの説明は非常にシンプル。
①[所持・所有]持っている ◆[商品などを目的語にして](・・・が)ある ◆[衣服などを]身につけている
②[属性・状態・特徴]・・・である、・・・をしている
③[取得」手に入れる;(乗り物に)間に合う
④[経験](幸運などに)恵まれる;(ひどい目に)遭う
⑤[行為]する;言う
⑥《~qn》《話》(人を)だます;打ち負かす;《俗》(女を)ものにするディコ仏和辞典[新装改訂版]
以上の傾向から、プチ・ロワイヤル仏和辞典は、はじめてフランス語に触れる入門者や初心者がより理解しやすいように配慮された辞書ということが言えると思います。
ディコ仏和辞典はこのように定義がシンプルな分、すでに他の1冊がある場合や、入門卒業程度以上に向いていますね。
文法解説事項が細かい
辞書は通常「語彙」「語彙の用法」を網羅するものですが、「プチ・ロワイヤル仏和辞典」は「文法」にも踏み込んでいます。
プチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版] allerの説明。ディコ仏和にはこのような説明はない。

初心者が躓きやすい語法やポイントが押さえられているので、単語の意味だけでなく用法の参考にもなります。
私は別に文法書を用意して使っていますが、辞書をひいたついでに簡易的な文法も確認できれば楽ですよね。
管理人が使っている文法書

アルファベット文字(欧文フォント)がやや丸っこい
プチ・ロワイヤル仏和辞典は、字が丸っこいと感じます。私は日常はディコ仏和辞典のほうを使っていますが、ディコ仏和辞典を見慣れているせいかもしれません。
プチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版] 欧文フォントが丸っこい
ディコ仏和辞典 [新装改訂版]。こちらの欧文フォントはすっきり
小説なども出版社によってフォントが異なるので、これは好みや慣れの問題ですね。
ディコ仏和辞典に比べると、語彙説明は若干物足りない?
掲載語彙数は、プチ・ロワイヤル仏和辞典第4版で43,000語、第5版で約45,000語とされています。
ディコ仏和辞典 [新装改訂版] の35,000語に比べると25%も多いです。
それでいて、ページ数(Aの始めからZの最後まで)は、プチ・ロワイヤル仏和辞典は1654ページ、ディコ仏和辞典は1672ページと、語彙数が多いプチ・ロワイヤル仏和辞典のほうがページ数が少ないのです。
(フォントのサイズはほぼ同じ、行間はプチ・ロワイヤル仏和辞典のほうが若干狭い)
仏和辞典 | 掲載語彙数 | ページ数 |
---|---|---|
プチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版] | 43,000語 | 1654ページ |
ディコ仏和辞典 [新装改訂版] | 35,000語 | 1672ページ |
つまり、プチ・ロワイヤル仏和辞典は語彙の種類を増やした分、イディオム(成句)を相対的に少なくしていると言えます。
avoirなどの初級単語の説明は多いのですが、それだけに他の単語ではそれが顕著です。
例:déluge
déluge 男
①豪雨;洪水 Pas question de partir sous un pareil déluge.こんなどしゃ降りの中を出発するなんて言語道断だ ②《D~》【聖】ノアの大洪水(=déluge de Noé) ③《un ~ de+無冠詞名詞》大量の・・・ déluge de larmes 涙の雨 / de paroles 言葉の洪水
Après moi [nous] le déluge ! (諺) 後は野となれ山となれ (←我(ら)の後には洪水!)
remonter au Déluge (話) 遠い昔にさかのぼる;話を遠いところ[そもそもの始まり]から始めるプチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版]
déluge 男
①豪雨; 洪水: sortir sous un vrai ~ ものすごい雨の中を出かける. ② D~ 【聖書】ノアの洪水. ③《~ de qch》大量の・・・: ~ de paroles 言葉の洪水/ ~ de larmes 涙の雨.
Après moi [nous] le déluge ! 後は野となれ山となれ.
d'avant le déluge 大昔の.
Passe au déluge ! 前置きはいいから早く本題に入れ.
remonter au déluge (ノアの洪水にまでさかのぼる→)遠い昔のことである; 話を迂遠(うえん)なところから始める.ディコ仏和辞典 [新装改訂版]
両辞書とも赤字の「まあまあ重要単語」としている単語ですが、「ディコ仏和辞典」のほうがイディオム(成句)が詳しく書かれています。このような差は、ちょっと調べただけでもいくつか見受けられます。
「avoir」など基礎単語・最重要単語の説明はプチ・ロワイヤル仏和辞典のほうが充実していることを考えると、やはりプチ・ロワイヤル仏和辞典は「入門者により優しく」というコンセプトが感じられますね。
ディコ仏和辞典を使ってみての感想
一方、私がメインで日常使いしているのが白水社の「ディコ仏和辞典」です。
「まえがき」を読むと、近年増えてきたインターネット関連語などの新しい語句や日常的な言葉、新しい語義を中心に「現代フランス語辞典」改訂したものであることが伺えます。
また、編纂にフランス人(Gabriel Mehrenberger氏)が関わっている点も、日本人編纂者だけのプチ・ロワイヤル仏和辞典とは違う点です。
それだけ、日常語・新しい語句・語義に力を入れて改訂されたということが伺えますね。
基礎単語の説明はシンプル
さきほどの「avoir」での説明の通り、avoirやallerなどの基礎単語・最重要単語の説明は、プチ・ロワイヤル仏和辞典に比べると簡素です。
また、文法事項の説明もないため、逆に言えば語彙の検索に集中できます。
絵での説明が多い
プチ・ロワイヤル仏和辞典にはない「絵での説明」が充実しているのがディコ仏和辞典です。
たとえば「船」ひとつとっても、仏語ではさまざまな種類の船が存在します。文字での説明よりも、このように種類別に示してくれると一目瞭然です。
ディコ仏和辞典 [新装改訂版] bateauxの絵の説明。プチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版] には図の説明はない。
ちなみに、プチ・ロワイヤル仏和辞典の上位辞書である「ロワイヤル仏和中辞典」は、図解説明も充実しているので、中級以上を目指す方にはオススメです(ただ、改訂が古いままである点は気にはなりますが)。
他動詞に含まれる「・・・を」を省いている場合がある
通常、動詞にはそれだけで成立する「自動詞」(例:dormir:眠る)、目的語や補語をとる「他動詞」(例:savoir:・・・を知っている)がありますが、ディコ仏和辞典ではその他動詞の意味に含まれる「・・・を/に(○○する)」の「・・・を/に」を省いているものがときどき見受けられます。
例:copier
プチ・ロワイヤル仏和辞典 | (1) ・・・を書き写す,複写する |
---|---|
ディコ仏和辞典 | ① 書き写す、模写する |
他動詞を覚える場合は「△を○する」とセットで覚えることが重要ですが、ディコ仏和辞典では補語分の意味(・・・を/に)が省かれている場合があるので、自分で気をつける必要があります。

まとめ
以上から、仏語初心者・入門者に私がこの2つの辞書の選び方をアドバイスするとすれば、
-
はじめての辞書ならプチ・ロワイヤル仏和辞典でOK!
-
現代語や日常語により寄り添いたいならディコ仏和辞典
ですね。
私は日常の学習にはディコ仏和辞典、補助的にPCやスマホにプチ・ロワイヤル仏和辞典[第4版]のCDデータを入れて使っていますが、ディコ仏和、いいですよ!

ディコ仏和辞典には「Saut à l’élastique(バンジージャンプ)」など、プチ・ロワイヤル仏和辞典に載っていない日常語もあり、白水社のセンスは流石だなぁと毎回関心しています。
一方、プチ・ロワイヤル仏和辞典はスマホアプリや電子辞書などの電子データでの展開が充実しており、携帯性・持ち運びの選択肢が多い点は他の辞書に比べてもとくに秀でています。

初学者の学習場面では私は電子辞書・アプリはオススメしませんが、補助的に使う場面も多いならばアプリや電子辞書での活用ももちろんアリです。
レベルや目的に合わせて、自分に合った辞書を選びのご参考になりましたら幸いです!